私の願いはそれだけだった。
ただ、トシと一緒にいたいだけ。
遥のことが好きだって聞いて、私は一人で泣いた。
そんなときに、私はお守りをもらった。
「これは恋愛成就のお守りで、自分が持ってる分と、ライバルに渡す分があるんだと」
どこの神社にでも売ってるようなお守りを二つ、私に渡した父は真面目な顔で言っていた。
私を慰めてくれただけかもしれないけど、私はそれだけでうれしかった。
でも、それをもらったことで人生が狂うなんて……全然思いもしてなかった。
トシが私から離れていくのを感じていた高校の卒業式。
私はトシに中途半端な打ち明け方をしてた。
私を見る冷たい目を忘れられなかった……
私たちは違う学校に行って、会うことがなくなった。
私はたまに遥になって、トシの側にいられる。
それだけでよかった。よかったはず、だった。
同窓会の何日か前、トシは私に会いたいと言ってきた。
その日、私はお守りを落としてしまった。
まさか、トシが拾っていたなんて知らずに。
「もういいだろ……」
同窓会の日のトシの言葉。
気づかれていたのかもしれない。私の何年も思い続けた気持ちが、終わった瞬間。
ただ好きだといえずに、お守りがくれた奇跡にすがり続けていた私はそこで終わった。
今まで……ごめんなさい。
騙すつもりじゃ、なかった。
あれから二人には会っていない。
変わったのは私だけ。離れていったのはトシじゃなくて、私のほうだった。
バカだよね、私……