詠唱
                        辻 李

「天に召します我等が神よ」と神父が口にする
僕達はその呪文の欠片を飲み込んで
永遠の夢を見るためにめ瞳を閉じる
「空から降り注ぐ星星の光の矢よ、願わくは」
願わくは、彼の約束の地が安らかであるようにと祈りながら
二つに割れた道の向こう
最果ての彼方で貴方が幸せであるように
この長い道の上で
僕達がその微笑みを見失うことの無いように
僕達は祈りながら静かにそのめ瞳を閉じた

「来たれ汝甘き死よ」と詩人がうたう
僕達はその呪文の欠片で互いを縫いとめて
終わりの無い物語をつむぐために息を止める
「海より吹く風の便りよ、光のしずくよ、願わくは」
願わくは彼の約束の地が絶えることの無いようにと祈りながら
決して途切れない水平線の向こう
最果ての彼方で貴方が悲しまないように
この長い旅の中で
僕達がその涙を見ることが無いように
僕達は祈りながら静かにその息を止めた

聖なる祈りよ
願わくは
罪深き僕の声が
彼の約束の地を
傷付ける事の無いように
願わくは
願わくは・・・・・・