探し物が見つからない。
 テレビが煩い。箱の中でニセモノの人が動く。話す。
 手を伸ばしたら届きそうなのに決して届く事は、ない。
 ニセモノの人が笑う、泣く。それを見た僕達は、何らかの感情を動かされる。
 ニセモノによって生み出された感情は、ニセモノではないの?

 テレビを消すと、部屋は真っ黒になった。カーテンを閉めている事もあるが、それ以前にこの部屋が真っ黒だからだ。
 家具も、カーテンも何もかもが黒で統一されている。アトラクションでやっている占い師とか、魔女の家のように。勿論そういう演出を狙ったわけではないのだけれど。
 第一僕は占いや魔術を信用してはいない。
 ただ、黒が好きなだけ。
 どんな色を内包しても変わらない。いや、それを取り込み、深みを出す色は黒だけだ。汚されない、純色。
 だから、好き。
 それを綺麗だと思い、羨ましいとも思う。
 この部屋の黒と同化してしまいたい、とも。
 黒の黒さに見とれて時間が過ぎるのを忘れていた。時計を見るともう1時過ぎだった。
「…日付…変わっちゃった……」
 昨日は、探し物が見つからなかった。
 今日は見つけたい。


 探し物が見つからない。
 探して、探して。
 見つけて。
 見つからなくて。
 そうしながら時間は流れていく。
 僕はいつも求めていて、満足できない。
 恨まれる事。僕に感情が向く事。
 集まる事。ひとりじゃない事。
 死んだ生き物も、星も一時的には満たしてくれたけど、次の日にはまた足りなくなる。
 底がない、箱のように。
 なにかが足りない。
 僕はいつも探し物が「何」なのかを探しているのだ。
 闇雲に当てはめてみても、当たる確率はとてつもなく低いけれど。
 それでも探さずにはいられない、飢えたこころ。
 僕はまた今日も探すだろう。明日も、明後日も……。
 探し物が見つからないから、帰れない。
 探し物が見つからないから―――


 でも本当は、僕は知っている。
 僕の探し物。
 そしてそれを永遠に手に出来ない事も。


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