5
数ヵ月後。
ある日突然壊滅した空中都市の支配から開放された、とある小さな国の酒場で、二人の青年が話しこんでいた。
「だから、俺はその時見たんだよ。銀髪の男がさ、傷一つ負わずに敵兵を皆殺しにするのをさ!」
「へーえ?」
「嘘じゃない!確かにこの目で見てたんだ」
「でも、後で記録を確かめてみても、そんな奴はいなかったんだろ?」
「あ・・・ああそうさ、確かに何度調べても、そんな男が兵士として雇われていた形跡は無かった」
「だろ?大体、銀髪の人間なんて、いるわけねえんだ」
「でも俺は・・・!」
「どうせ幻でも見たんだよ。お前も死にかけてたんだろ?」
「うーん・・・」
口篭もる青年の後ろで、店の主人に酒の代金を払い、一人の男が席を立つ。
長い黒髪の痩せた男は、一度だけ、その藍色の瞳で、先程話していた青年を振り返ると、寂しそうに笑い、酒場を後にした。
「あれ?」
「どうした?」
「いや、なんか今見覚えのある奴を見たような・・・」
「気のせいだろ」
「そうだな」
それきり、男の姿を見たものはいなかった。
終