コン、コン


 ドアを叩く音に目が覚める。起き上がり玄関の方へ歩き覗き穴から外を見る。
 赤いのがいた・・・・
 ドアを開けると赤、青、黄、黒、白いのが一礼して続々と入ってきた。もう一人、引きずり込まれる様にして男が入ってきた。
「あの、何か・・・・」
「貴方の後をつけている変な男を見つけましたので連れて参りました」
 青いのが答えた。よく見るとその男は今まで飲んでいた同僚の一人だった。名前は覚えていない、違う部署の人であることは確かだ。男は恐る恐る語った。
「コートを・・・・、忘れていかれたコートを届けに」
「まぁ、わざわざありがとう・・・・」
「すみません、何か渡すタイミングがあわなくて」
 男は女を見つめた。なかなかの好青年である。
「ちょいと待った」
 赤いのが待ったをかけた。
「お嬢さん、だまされてはいけません。その男はとんでもない悪党です」
 黒いのがいった。
「そうよ。その人ずっと前から貴方の後をつけていたけど、貴方が襲われそうになったとき何してたと思う?」
 白いのが尋ねた。
「写真を撮ってたんだよな?襲われているこの女性を」
 黄色いのが男をにらんだ。
「貴様はその写真で何をするつもりだったんだ?」
 青いのが畳み掛けた。
 男はしばし、うつむいていたが顔を女の方へ向けた。
「貴方が欲しくて、こうすれば貴方は私のいいなりになるはずだから」
 男の目はさっきとは違った色をしていた。欲望のために濁り切っていたためであろう。
「なんてひどい奴だ。きっとこいつが貴方を襲わせたんだろう、金でも掴ませてな」
「写真に撮って、脅迫するつもりだなんて最低ね」
 戦隊の罵声を浴びた彼はこう反撃した。
「写真じゃない、高性能のビデオカメラだ。デジカメも使えるやつだ。こっちの方が高く売れるんだよ!」
 戦隊のオーラが変わった。殺気がみなぎってくる。
「この虫けらめ!生きる価値無し!」
「部屋から連れ出して処刑だ!」
「貴様それでも人間か!」
「行くぞみんな!レッツ、マーダラス・アクション!」
 戦隊は男を担ぎ出し部屋から出ていった。


 しばらくして、女は崩れるように座り込んだ。
「何で私がこんな目にあわなくちゃならないの?この美貌のせい?もういや、誰か助けて・・・・」
「僕がいるじゃないか」
 女は顔を上げて振り向くと知った男が立っていた。前から好意を寄せていた、同じ部署で働いている一つ年上の男性であった。さっきも一緒に飲んでいたのだ。
「ごめん、勝手に上がらせてもらったよ。いくら電話してもでないから、何かあったんじゃないかなって心配になってね。結構酔ってたし、時間も遅かったから送っていけば良かったかな」
 女は男に抱きつき腕の中で泣いていた。安心できる人に会えたためだろう。
「何かあったのかい?ひどく震えているよ。ほら、もう大丈夫だ。ずっとそばにいてあげるからね」
 男は女の背中に手を回し、軽く抱き締めた。
「本当に、そばにいてくれる?」
「あぁ、今夜はずっと君を離さないよ」
 男はそう言い、女に見えないように唇の端をそっと吊り上げた。


← Back    Next →