Nightmare Hunter?
                             あけち あすか

 ぼくは久しぶりに「あの夢」を見ていた。むかしから見ていた「空」の夢。青く広い空の夢。雲なんてどこにもみあたらない、ほんとの晴れって奴かな。
 でも、こういう風に落ち着いていられる時間はわずかしかないってこともわかってるんだ。
 ほら、だんだんと黒い雲がどこからともなくやってきた。このあとはいつも雨が降って「すべて」が流されてしまうんだ。ぼく自身も含めて。
 ところが、今回は違ったらしい。
 黒い雲はぼくの傍で、ひとのカタチを創り始めた。こんな展開は初めてだ。
 黒いのは、姿をあらわしても黒いののままだった。


「よォ」
 黒いのが口を開く。えらそうな奴。そんな印象をもった。
 それにしても、格好がかなりおかしい。黒くて長いフードを目深にかぶっている。長いかまは持ってないみたいだけど、ほんとはどこかにかくしてんのかもしんない。これってまるで…。
「あんた、誰?」
 怖くてもとりあえず訊いてみる。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ってね。使うとこ違うような気もするけど。
「えー、俺様?俺様はー」
 しかも、俺様。
「シキってんだ。職業は秘密工作員」
「…秘密っていう割にはばればれ(ぼそ)」
「ほんとの職業は公務員。仕事はきつくても給料安いぜ?」
「公務員って言ってるけど、もしかしてさ…」
 なんか嫌な予感。しかも、最後まで言わせてもらえない。
「あぁ、死神。よーすけ、お前を迎えにきてやった。」
「え…」
 嫌な予感的中。ぼく、しばらくシステム停止。数秒後、再起動。


「今の、冗談な」
 どこからどこまでが冗談なんだろう。どうしてぼくの名前を知っているんだろう。目がフードで隠れてて表情をうががうことはできない。
「さっきも言ったように公務員で…」
 今度はぼくがことばをさえぎってやる。
「どうしてぼくの名前知ってんのさ?公務員って何やってんの?!そんなあやしい公務員居ていいの?!」
「いいの、俺様がいいって言ってるんだから」
 ぼくの一番訊きたい質問には答えてない。
「あんた、何者?」
「シキ様って呼べ」
「やだ」
 即答。
「…」
「…」
 しばらく沈黙。
「とりあえず、ついてこい」
「なんでついていかなきゃなんないんだよぉ」
「ついてくれば、お前の知りたがってることがわかるって言ってもか?」
 なんでって思いつつもついていってしまう辺り、もぉ俺様なペース。


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