2
ぼくらはしばらく歩いていた。いつまでたっても同じ風景のままだ。どこまでも青い空、緑の草原。二人とも何も言わずに、ただひたすら歩き続けていた。
すると、シキがいきなり沈黙を破った。
「よーすけ、ちょっと出口っぽいの思い浮かべてみ」
意味不明。こいつの芸風はちょっとシュールだ。
「な…やっと口を開いたと思ったら、それ?!」
「なんでもいいからイメージしとけ」
…俺様には何を言っても無駄なんだよな。しょうがないから、てきとーに頭ん中にイメージを浮かべてやる。
ん、何やってるんだ?シキはぶつぶつ何かつぶやいてる。うわー、きもちわるー。黒いフードに何やら呪文ぽいの。ぼく、呪われる?!
どうやら謎の儀式は終わったらしい。
と、その瞬間。
非常口のドア出現。緑色に映える脱出しようとしてる白いひと。
「…お前の頭の中って、こんなのなんだな」
「は?」
「俺様、よーすけが思い浮かべたもの、そのまま出しただけだもん」
だもん、って可愛らしさアピール?じゃなくて、ぼく混乱してる。知らない人についていっちゃダメだったのにー。ぼくのばか、ばかー。
「言っただろ、ついてくればわかるって。俺様の能力はこういったこと」
こいつ、説明になってないってこと、わかってない。変なのにかかわってしまった…。
とりあえず、奴の出した非常口から出てから話を聞くことにした。気がすんだら開放してくれるだろうか。それともこのままどこかへ連れて行かれる?工作員とか言ってたし。刺されたりしたら、痛いだろうなぁ…。痛いどころじゃない、死ぬ。きっと死ぬ。ぶるぶるがくがく。
非常口を抜けると、そこには怪獣がってしゃれにならない。いい状況を想像しようとしていたぼくは、ことばを失った。なんか緑色のでかいのが、ぼくらを見つけて「おいしそう」な目で見つめているのだ。
「ほら、おいでなすった」
あんた、何でそんなに冷静で居られるんだよ?!
「それは、ここがある女の子の夢の中で、今回の俺様の仕事場だから」
そして、ぼくの心をどうして読めるんだよぉ?
「俺様は夢つかいで、お前はそのアシスタントだから」
理由になってないし、勝手に任命されてるし!
「他の奴じゃダメなのかよっ」
「うん、だめ。だって波長のあう奴しか使えねーから」
「夢つかい…波長…言ってる意味がわかんないよ」
「そのうち、わかるって。それより、このままじゃ殺られるぞ?」
「じゃあ、どうすればいいんだよッ!」
ぼくはふつーの小学生で、勝手に夢の中にあがりこまれて…。
夢?夢がキーワードじゃないのか?
こいつはぼくの夢の中で非常口を出してみせた、ぼくの思った通りの。てことは…?
ぼくはそうぞうしていた。想像したものが創造されていく。
ぼくらよりおいしそうなもの、こいつの大好物…。
緑色は思った通りに、そっちの方に目をやっている。
「ぴぎゃ」
不思議な声で鳴くと、そこにある「ドッグフード」を食べようとし始める。て、何でドッグフードやねん。
「ぽち、待て」
勝手にぼくの口から、ことばが出てくる。ぽちと呼ばれた緑色のは、犬でいう「おすわり」をする。だんだん某放射能怪獣くらいあった(ちょっと言い過ぎ)身体が縮んでいってあっという間に小型犬サイズ。
「ぴぎゃ」
もう一鳴き。
「よし」というと、嬉しそうに好物を食べ始める。何これ。
「おーすげー、さすが俺様の下僕」
いつのまにか下僕に格下げ。アシじゃなかったのか?
「やっぱり俺様の見込んだ通り」
「もしなんとかできなかったらどうしてたんだよ?!」
「あー、俺様が間違うはずなんてないし」
大した自信だよなぁ…
「で、これはなんだったんだ?」
「それはここを出てからにしよう。もうすぐ目を覚ますだろうから」
…また、それ?
ぼくのそんな様子に気付きもせず、奴は緑色のを呼ぶ。
「さー、おいでぽち」
呼んでやると、長いしっぽをうれしそうに揺らし、くんくんと手をかいでくる。…ちょと犬っぽ。