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出口をぬけると、今度は家の中だった。どこで○ドア?!
ベッドで女の子が眠っている。この子がさっきまでいた夢の主らしい。その傍には二人の男の子。
「ぽち…」
男の子Aがつぶやく。それに応えるように、ほんとの意味で飛びつく緑色。
「ぴぎゃ」
また鳴いた。変な鳴き声だよなぁ。
それから数秒。女の子が目を覚ました。
「ん…ショータくん…」
「「ミクちゃん!!」」
「あたし…夢の中でぽちちゃんと遊んでて…?」
「そう、何日も目を覚まさなかったんだよ」
彼らは勝手に盛り上がり始めた。ぼくらのことは忘れ去られているらしい。それにしても呼ばれなかった方、かわいそうかも…。ふと、シキの方を見ると、いつのまにかフードなんか脱いでしまっていた。下に着ていたのは黒いスーツだったらしい。違う意味であやしい。ちょっと喪服っぽいし…。
「喪服っぽいとか思っただろ」
「う…」
「俺様に似合うのは黒なんだから。雰囲気だって出ないだろ」
「雰囲気って何やーッ」
「…ナイスツッコミ」
ぼく、ほんとならボケなのに。
ぼくらはやたらに感謝され、ミクちゃんの家をあとにした。
「どうして、ぼくの名前知ってたの?」
「ちょっと調べさせてもらったからだ。資質を持つ人間の中から」
資質を持つ人間っていうのは、「くりかえし同じ夢を見て、それを覚えている」人間らしい。
説明されたことを要約すると、奴は夢つかいで、夢の中の人の潜在能力を引き出したりできるらしい。しかも、その能力を強いままで使えるのは自分か、自分と似た波長を持つ人間に限られるらしい。夢つかいは他にも居るんだけど存在は隠されていて、今回みたいな謎の昏睡事件を解決したりしているんだって。
今回の事件は、緑色の(ドラゴンだったらしいけど)が、ミクちゃんの夢の中に入り込んじゃったから、彼女は眠りつづけていたんだって。
それをぼくが外に出る気にさせたっていうんだからわからない。シキが言うにはそれがお前の資質の高さ、だってさ。まだまだよくわかんないけど。
「なぁ、お前バイトする気ない?」
「…ぼく小学生だよ?」
「時給はずむからさ」
聞いちゃいない。
「時給200円でどうだ?」
「…安すぎじゃー」
「お前は俺様の手下なんだから、言うことは聞かなきゃいけないんだぞ。俺様のことはシキ様と呼ぶよーに」
「誰が呼ぶかーッ」
…きっと断ったってまたあらわれる。俺様ペースにまきこまれる。
知らない人についていくと、こんなことになるんだって身を持って思い知らされてしまった。
えぴろーぐっぽいの。
中学に入ると、翔太・悟・未来と同じ学校になった。
未来は相変わらず、翔太しか見てないし、悟はあの事件の後、精神科医を目指すことにしたらしい。そして、僕はまだあの「バイト」を続けている。あとで知ったんだけど、僕の住む地域での最低賃金は時給650円からだったんだよね…。
絶対に奴を抜いてやる。あいつよりすごい夢つかいになってやる。
…僕も変わったなぁ。朱に交われば…って奴?
おしまい?