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魔方陣みたいでそうでない、変な模様の真ん中に立たされた俺に、『葬列の巫女』はこう言った。
「流れを変える儀式に必要なのは、貴方が帰りたいと望む場所を思うことです。こちらに来る前、最後にいた場所を思い出してください」
「・・・思い出さないとどうなるわけ?」
すげえ不安なんですけど。
『葬列の巫女』が言い放った一言は、正直俺を唖然とさせた。
「下手するとどこか別の次元に飛ばされて、一生帰れません」
嫌――――――!それだけは嫌――――――っ!
俺は慌てて意識を昨日の昼に最後に見た学校の教室に集中させる。
通い始めたばかりの大学、長机とパイプ椅子が並んでいる、人気の無い、春先の日向が少し暖かい教室。
丸一日前の光景のはずなのに、随分懐かしい。
そっちはあんまり意識してない耳に、誰かが変な呪文を唱えてる声が聞こえる。
あれは『葬列の巫女』か?それとも・・・。
走馬灯みたいに、昨日の昼から今日の朝にかけての映像が流れてくる。鬱蒼と茂った森で出会った『羽毛の蛇』の銀色の瞳、罠から引き上げてくれた『美春の子』と『氷雪の牙』の不思議そうな顔、若くて綺麗なのに時折母さんみたいな『死の右腕』の横顔、きつい一言にもどこかで意味のありそうな『葬列の巫女』の皮肉。そしてその中で、狼狽して、混乱して、絶句して、少しだけ開き直った、俺がいる。
・・・和也、私はね、ちょっとびっくりしたよ。見たことの無い、でも、今まで見た人の中で、一番素敵だって思える貴方に、森の中で出会えた時・・・
最後に俺は、絶対聞こえるはずの無い少女の声を聞いた。
最初で最後に聞く声は、結構幼くて、凄く可愛かった。