そしてまた、次の日。
 月色のうさぎは帰ってきませんでした。成功したのかなぁ?とみんなが思っているところに、月色のうさぎは放り投げられました。
「どうだったの?」
 月色のうさぎはこころなしか他のうさぎよりもふかふかしているようです。
「ん〜と、窓の外に出たら、なんでか動けなくなったの。朝になってね、いつのまにか水がいっぱいの所に入っててね、ぐるぐるぐる〜あわあわあわ〜ってなったの。それでね、首きゅ〜ってされて、ここに戻ってきたの」
 要約すると、外に落ちていたのをお母さんが拾って洗濯しておもちゃ箱に入れた、と言うことらしいです。
「すっごい、こわかったよ」
 月色のうさぎは涙目で言いました。これも失敗です。
 その後も、うさぎ達の挑戦は続きます。
 みかん色のうさぎは真っ赤な絵の具を体中にかけてみました。葉っぱ色のうさぎはおもちゃ箱を壊しにかかりました。
 しかし、どちらも失敗に終わりました。みかん色のうさぎは、月色のうさぎと同じく洗濯されて終わっただけ。そして、壊そうとしたおもちゃ箱はちっちゃな跡が残っただけでした。
「むうぅぅぅ〜」
 みんな疲れきっていました。
「…ちがうよ」
 夜色のうさぎがちいさく言います。
「なに、が?」
 まだ、何もしていない空色のうさぎが尋ねます。
「ちがうんだ」
 そういうと、夜色のうさぎは自分の眼を引きちぎりました。
「見えるから、いけないんだよ。『外』が見えなかったら、行きたいなんて思わない」
 それは、疲れているみんなへの夜色のうさぎのやさしさ。『いまのままでいいじゃないか』という…。
「その方が、間違ってるよ!」
 空色のうさぎは言います。言いながら、ぶちぶちと自分の耳や手、足をちぎり始めました。
「何を!?」
 バラ色のうさぎはとめようとします。いいえ、バラ色のうさぎだけではありません。みんな空色のうさぎをとめようとしました。おかしくなってしまったと思ったからです。
「自分で治せないくらい…専門のひとじゃないと治せないくらいばらばらにしたらいいんだよ!」
 首と胴体だけがかろうじてつながっている空色のうさぎは誇らしげに言います。
「だいじょうぶ、ぜったい外に出られるから」
 それは、誰に向けたことばだったのでしょう。他のうさぎに?それとも自分に?
「ね、ぼくが戻ってこなかったら…ううん、ぼくは『外』に出ても戻ってくるから、待ってて。『外』がたのしかったらみんなで行こう?」
 空色のうさぎだけが考えた希望に満ちているとは限らない『外』の世界。それに気付き、他のうさぎ達はざわざわし始めました。
 しかし、なす色のうさぎは黙ってみています。それは、なす色のうさぎは知っているからです。自分たちが『ぬいぐるみ』でしかない事を。


 虹色のうさぎたち。
 『外』に憧れたうさぎ。
 彼らは『外』の世界に出ることはできました。
 度々壊れるうさぎたちを気味悪がった持ち主が、彼らを解放したのです。
「もう、いらないから、棄ててしまいましょう」
 ごみの収集日、に。



 憧れつづけたせかいは、刹那に壊される。


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