「何ボーっとしてんだよ?」
 俊也の言葉で、あたしは我に返った。
飲み会になるからといって乗った電車の揺れを、思い出したように感じる。
「ちょっとねー、高校の時のこと思い出してたよ」
「なんだそれ」
 同窓会だって聞いて、あたしたちは久しぶりにこの街に帰ってきた。
「いいけど、智美のヤツ元気にしてたらいいんだけどなぁ」
 その言葉にあたしは苦笑する。
 あの時から、あたしと智美はたまに入れ替わるようになった。正直のところ、あたしが智美なのか遥なのか、それすらもイマイチわかっていない。
「元気だと思うよ」
 多分、智美を見たら俊也はびっくりすると思う。
「卒業してから直接会ってないからなぁ、メールだけじゃ意外とわかりにくいよな」
 あれから俊也は変わっていない。
 いい部分も悪い部分もあのときのままで、あたしはただ、俊也との生活を楽しんでいるだけだった。
 数分もすれば駅に着く。

「はぁっ?」
 俊也の第一声は疑問だった。
「お前ら、そんなに似てたっけか?」
 あたしじゃなくてもあたしである智美が似たのか、あたしのほうが似たのか、いつの間にかあたしたち二人は似た雰囲気を持つようになっていた。
「さぁ?」
 智美とあたしは目を合わせていたずらっぽく笑うだけ。
「ありえねぇ、絶対ありえねぇって」
 懐かしい顔ぶれが並ぶ同窓会の会場でも、あたしたちがこんなに似てしまったことには驚きを隠せない友達が多いみたい。
「そういうのもアリってことでね。そろそろ先生も来るんじゃない?」
 不思議そうな顔をしてる俊也を放っておいて、あたしたち二人は会場の中にまぎれて行った。
「もういいだろ……」
 何故だろう、同窓会から後、俊也の呟きを聞いたあたしと智美は入れ替わらなくなった。

FASE1 END

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