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智美とは別の学校になったが、遥と偶然同じ進学先になったオレは、遥の側にいるように心がけた。
その頃にはもう、好きとかそういう感覚があったわけじゃないが、確実に仲は良くなっているはずだ。
遥には智美と会うことはないといっていたが、一度だけ出会うことがあった。
冬場だったのを覚えてる。
白いマフラーとセーターが良く似合っていた。
「久しぶり、トシ」
「あぁ、変わったな、お前……」
智美は、あきらかに遥と同じようなセンスになっていた。
「まぁ、そんなものだと思うよ」
どれくらいの頻度で遥なのか、智美なのだろうか……
オレはいつまでも騙されてる気分だった。二人のちょっとしたいたずらだったのかもしれない。
ただ言えることは、久しぶりに会った智美は、オレと遥の会話を知っていたということだ。もちろん、すべてじゃない。
入れ替わっている間は智美が遥としてオレと話をしていたといっている。
その日の帰り、智美が落としたものを拾った。
隅に小さく遥の名が刻まれた何かのお守りのようなもの。そこでオレは余計な想像力を膨らませてみる。このお守りで二人が入れ替わったとか……
同窓会の数日前の出来事だった。
その日、オレは遥と一緒に電車に乗っていた。
飲み会になるだろうからと言った遥の言葉を聞いて、久しぶりに乗った電車は、思ったより人が少なかったような気がする。
「そうだ、昔智美にお守りとかもらったことないか?」
興味本位で聞いただけのオレに、遥は財布の中に入っていたものをオレに見せてくれた。
「これ?」
「あぁ、それそれ。今日借りててもいいか?」
「いいけど、なんでよ?」
「ちょっとな。確かめたいことがあって」
妙に気持ちが高ぶっていたのは何故だろう。何か今まであやふやだったものが一気に片付いてくれるような気がしていたからだろうか。
それからしばらく、遥はぼけっとしていたようだったが、オレたちは無事に同窓会の会場へとたどり着くことができた。
そこで、数日前に会った智美にまた出会う。
待っていたのは信じられないことだった。
「はぁっ?」
数日前にあったときよりも、智美は遥に近くなっていたのだ。
「お前ら、そんなに似てたっけか?」
「さぁ?」
智美の目は確かに、オレを挑発しているように見えた。
「ありえねぇ、絶対ありえねぇって」
オレの言葉も智美に向けられている。
明らかにコイツだ。智美が何かを知っているんだ……
「そういうのもアリってことでね。そろそろ先生も来るんじゃない?」
適当にごまかして、智美と遥は会場の奥へと進んでいく。
「もういいだろ……」
オレが呟いたのは聞こえていただろうか。
持ったままのお守りを強く握り締め、オレは強く願った。
「智美、お前は何がしたかったんだ……」
結局分からないまま、それから遥も不自然なことをすることはなくなった……