PERSONAL
                        あけちあすか

 目覚めると、そこには天井があった。白い天井。消毒液のにおい。のりのきいた真っ白なシーツ。枕もとには…誰?知らないひと。なのに、懐かしいような…
「…だれ?」
 かすれた声がした。逆光でそのひとの姿はうかがうことができなかった。
「ここ…どこ?」
 答えない。しばらくの沈黙のあと、彼は言った。
「…もう少し、眠った方がいい」
 やさしいようで、それでいて突き放すような。
 あたしは何かを言おうとしたけど、声が出なかった。
 彼の声に誘われるように、まぶたが重くなり、あたしは黒の世界へひきずりこまれていった。あたしはそこで意識を失った。


 次に目覚めたのは、見覚えのある部屋だった。あたしの部屋だ。何故、あたしはあんな夢を見たんだろう?ぼーっと考えてしまう。それがあたしのクセだったりする。考え込んでしまうと長い。
 ふと、ベッドの横においてある時計を見る。八時二十分。…いっけない!遅刻しちゃう!
 パジャマを脱ぎ捨てて、制服に袖を通す。かばんをひっつかんで階段を駆け降りる。教科書とかは学校に置いてあるから、すごく軽い。朝ごはん、食べてる時間なんてない。簡単に髪のはねをチェックして顔洗って歯磨いて家をでる。ここまで五分。十七歳の乙女(一応)のすることじゃないよねぇ…。でも、仕方ないじゃない?
 朝のHRが始まるのは三十分。学校はあたしの家から走って五分くらい。自転車で行くよりも近道を走っていった方が早いんだ。


 五分後。あたしはHR開始を告げるチャイムが鳴るのと同時に、自分の席についていた。
少し早く来ていた先生に言われてしまった。
「日向葵、もう少し余裕をもって来い。お前、家近いんだから。」
「新記録に挑戦してるんです」
 あたしは、そう答えた。こんなので新記録樹立しても仕方ないんだけどね。でも、どうして先生って怒るとき、フルネームで名前呼ぶんだろ?そういうことってない?


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