6
次の日、悟くんの診療室へ行くと、悟くんはいなかった。井上さんは、「しばらくおやすみをもらうって言ってたわよ」と言った。
きっとなんとかシステムとやらを直しにいくんだろうな。計画の方はどうなってしまうんだろう?
悟くんの机に『葵ちゃんへ』と書いてある封筒が一通そっと置いてあった。
あたし宛てだった。あたしは封筒を手にとった。封筒の中には、便箋が何枚かと何かの鍵が一緒に入れてあった。
初めて見る悟くんの字は少し角張ってて、右上がりだった。きっと何回も書き直したんだろうな、とか思うと、少し笑ってしまった。便箋にペンのあとが残ってる。
もし、あたしが悟くんを好きじゃなかったらどうするつもりだったんだろう。それだけ、あたし態度に出てたってことなんだろうか?
あたしの想いを甘く見ちゃいけないわ。あたしはあたしがキライなんてこと言ってられない。今が無ければ、未来なんてこのあとなんて存在しないのよ?
高校卒業したら、絶対探し出してやるわ。
だって。
あたし、まだ好きって伝えてないんだから。