3 甦る…桃。

 ここは、ある人間の村である。山と川に囲まれたのどかな村である。ここに住んでいる一組のおじいさん、おばあさんはとても仲がよく、今日も二人そろって川へ洗濯に行きました。
「おばあさん、今日まで長いことありがとう。本当に感謝しとるよ。」
「なにをおっしゃいます、おじいさん。私のほうこそ感謝してますよ。」
「それじゃ、そろそろ…」
「はい…」
 二人は、ぞうりを脱ぎ封筒のようなものの上に重ねた。そして、二人は流れ行く川の中へと消えていった。それらを見守るようにして咲いている草花が、悲しそうに感じられるのは何故だろう。
 ん?…あっ、
 これ、違うおじいさんだった。失敗、失敗。どこで間違えたんだろう。ま、いいや。本物は…いた。お婆さんだけが川へ洗濯に行くのが正解。
「ルンルンルン、今日は大きな桃が川に流れてきたわい。さぁ、どう料理してやろうか。煮てみるか、三枚におろそうか、蒸してみてもよかろう。」
 食う気満々の、おばあさん。食べちゃ駄目よ。でも、桃を担ぎ上げる腕力には驚かされる。そう言っているうちに家に着いた。
「おじいさんや、只今戻りましたよ。」
 何の返事もない、まだ帰ってきてないようだ。お婆さんは桃を床においた。台所へいき、大きな包丁を持ってくる。
「ただいま」お爺さんが帰ってきたようだ。目の前には包丁を持ったお婆さんが…。
「ひぇ〜、こ、殺さんでくれ。わしが悪かった。」
 何を勘違いしているのか、一人混乱するお爺さん。余程殺されるようなことをしていたのか?見事な誘導尋問でお婆さんはお爺さんの悪事を暴き、そして、想像を絶する喧嘩が始まったのだった…。
 お〜、女性は恐いね。くわばら、くわばら。
 喧嘩も一段落して本来の目的の桃を切ろうとするお婆さん。包丁には血が…。
 ジュニュ、というジューシーな音を残して桃に刃が入った。
「おぎゃ〜、おぎゃ〜。」
 突然の赤ん坊の声、桃の中からだ。桃の中身が危険を察知したのだ。茫然とする二人。
 とりあえず、育てることにしてください。話が進まないから。


 4 成長する怪物。

 桃を拾ってから十日…中身の赤ん坊は驚異的な成長をとげていた。さすがは鬼の造り出したる最終兵器、人間を死滅させるために生まれた怪物。
「おばあちゃん、おかわり。」
「はいよ、たくさん食べて元気に育つんだよ。」
 こうして「桃太郎」と名付けられた子供は、生後二週間にもかかわらず言葉を喋り、普通に御飯を食べてる。生物学的には無茶苦茶だが、本物の桃太郎もおかしいと思っているのは私だけではないはず。
 そんなある日、世界の運命を変える事件が起こってしまうのだった。桃太郎、誕生から三週間目のある晴れた日の出来事であった。


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