2
私が彼に会ったのは今から二年前、知り合いのペンションに友人の友理子と遊びに来ていた時のことです。そこには私たちの他に、男性の三人組、カップルが二組泊まっていました。私たちはその男性三人に仲良くしていただいて、特に友人の友理子は、その中の一人と意気投合していたようでした。私はと言うと、一人っ子のせいか男の人に対する免疫のなさと、引っ込み思案な性格もあって、なかなか上手く話せませんでした。
三人はそれぞれ個性的な方達ばかりで、友理子と意気投合した陽気な人に、物静かで優しそうな人、そして三人の内のリーダー的存在が彼でした。彼はどうも私を気に入ったらしく、何かと言えば私のそばへ寄ってくるのです。私はそれが嫌でたまりませんでした。別に彼は容姿も話し方も素敵でおもしろかったのですが、時折彼の目が何とも言えない恐ろしさを秘めているようで、私は怖かったのです。
私たちが帰る前の日、彼らはちょっとしたパーティーのようなものを、開いてくださいました。私も少しお酒が入って、いつもより気が大きくなっていたのでしょうか、パーティーの席で彼が、私の肩を抱きながら「付き合ってほしい」と耳元で言った時、そうされることがとても気持ち悪くて、つい自分の肩に置かれた手を思い切り払ってしまったのです。皆の前で、はっきりお断りしたのです。
すると彼は笑って冗談を言っていましたが、彼の目は笑っていなかった。私を見る彼の目は、お酒で熱くなった体も一気に冷めるような、冷たくて怖い目でした。
帰りの電車で友人の友理子に彼の話を聞きました。どうやら彼は資産家の跡取りらしく、とてもプライドの高い人であるということが分かりました。
友理子が冗談で「彼に恨まれたんじゃないの」というので、私は内心気が気でなかった。
そして私の不安はあたっていたのです。